なないろのゆりブロ

百合系創作サイト「なないろのゆり」の更新情報などを中心に書いていくブログです。こちらはひとことおまけがつく仕様すのでよろしくお願いします。
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# 久しぶりにSSをUPしました
超ひさびさですが、SS更新します。
やっと書き上げたという感じです。いつもどおりどうってことないぬるさですが。
時々自分はマンガより文章書く方が向いてるんじゃないかという気もしなくもないのですが、自分が他のサイトさんなんかをまわるとき、明らかに「文字だけ」サイトよりも「Webマンガ」サイトの方が行きたいと思うのでやっぱり下手でもマンガは描いた方がよいように思ってます。
絵を描くとかマンガ描くのは楽しいし、好きなんですよ。
ただ、自分の才能の限界を感じる瞬間が、マンガの方が多いというだけのことです。


エリアマネージャー


奈々の働く支店には、一ヶ月に3〜4回くらい様子を見に来るエリアマネージャーがいる。
主に女性をターゲットにした小物雑貨の卸しが業務の会社なので、当然のように女性社員が多いのだけれども、支店長の上司にあたるエリアマネージャーという管理職に女性がつくというのはそれほど当たり前のことでもない。
その中にあってさらにこの地区を担当する静絵というマネージャーはひときわ異彩を放つ存在だった。
管理職をしている女性というと厳しくて強気なステレオタイプがあるようなところで、静絵はその正反対の癒し系といえるタイプなのだ。

入社してそろそろ3年という奈々が研修の時などで別エリアの同僚たちと仕事の話をして知ったところ、他のマネージャーたちは厳しく一般社員を管理していると聞くのに、静絵のやり方はそれに比べればほとんど放任にも近くて、部下の起こした失敗を謝りに行くことが仕事なんじゃないかと思うようなものだった。
周囲はそんな奈々の状況をいいねとうらやましがったりもしたが、奈々は言われるたびにそれはそれで大変なんだよ、と笑って返していた。

実際のところ仕事を任されるというのは確かにありがたいところもあるけれど、反対の意味のプレッシャーだってある。なにせ成績が悪かったり何か大きなミスをしたりすると責任は自分だけではなく静絵にも及んでしまうのだ。
真面目な性格をした静絵は部下の問題について本人以上に悩むクセがあり、部下である周囲の方がはらはらして気を遣ってしまうくらいで、いつのまにか静絵に迷惑をかけまいときちんと仕事をするような雰囲気さえ自然に出来上がってしまっていた。

若い男性社員の中には平然と「静絵マネージャーのファンです」なんて本人に向かって言う者もいたが、奈々だって入社間もないころからずっと静絵のことが好きだった。
好きというのは間違いなく尊敬とか憧れとか友情とかとは違っていて、有り体にいうところの「恋愛感情」と言ってもまっったく間違いではない。
ある難しい仕事の案件をこなしている中で、不意ににっこりと視線を合わせて微笑まれた瞬間、奈々は彼女を好きになっていた。
最初は淡い気持ちであったはずが、その時の「にっこり」をもう一度見たいという一心で必死に仕事をしているうちに、どんどん奈々の中で大きく形を変えていっていて、気づけばいつの間にやら抑えきれない危険さを自分の中に感じる瞬間まであるくらいだった。

だからある日、本社から来た専務が気まぐれに静絵と一緒に出張をしないかと言ってきたときには、これは現実の出来事かと思わず疑ってしまうくらいだった。大手メーカーが毎年主催している、協力会社を集めた親睦会のようなものだという。

「まあ毎年恒例の若手の顔見せだ。今年あたりこのエリアから誰かと思ってたところでね。君の仕事の都合がつけばだけど、どうかい?」

普段の仕事では気分のムラがあるのであまり得意ではなかった専務だったが、このときばかりはその日気分の気質を喜ぶ気になった。奈々は渾身の力をこめた笑顔で了解の返事をした。


     *****
(続きは本家「なないろのゆり」で)
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# SS:第三者だから
昼間寝すぎて今眠れないのでSSでも書こうと思っていたら、まんまと最後まで書けてしまいましたのでアップです。
するっとできると気持ちいいですね。




SS:第三者だから



「ねえねえ、知ってる? マーケティング二課の尾身さんと総務の亀石さんが付き合ってるって話」

社内の飲み会の三次会として開かれた気の置けない数人だけの女子会で、いきなり同僚の一人がそんな噂話を持ち出してきた。
広報デザイン課に勤めている狩野柚香にとっては、どちらの課も仕事でよく出入りする場所であったので、話題の二人-----尾身あかりさんと亀石鈴さん-----のことはそれなりに知っていた。

「何バカなこと言ってるの。それじゃ何? 二人はレズってこと?」
「なんじゃない? 亀石さんはアレだけど、尾身さんの方はアラサー過ぎても恋人とか結婚の話題全然ないし、なんとなくそんなふうにも見えるない?」

総務の亀石さんは新卒でこの会社に入って2年目の、おそらくは育ちがよいのであろう丁寧な言葉遣いと立ち居振る舞いが男性社員や取引先にも評判のよい、清楚なイメージの子だ。
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| comments(0) | trackbacks(0) | 03:39 | category: SS |
# SS:あなたの存在
一週間遅れになってしまいましたが、ようやくSS書きました。
「あなたの存在」ってちょっとわかりにくいかもしれませんね。
個人的にはこういう話が好きなんです。(自分で好きでないと書くわけないですが)。

それと、お知らせですが過去のサイト「有意義なヒマのつぶし方」で描いてたマンガを別のどこかでアップしようかと考えています。全部ではないですが。

自分のことなんですが、懐かしいです〜

それはそうと、以下SSで。


-----------------------あなたの存在


鳴海をだいぶ長いこと待っていたのだろう、レイコの髪の毛には滴り落ちるほどの雨粒がまとわりついていた。
目が合って、何かをレイコが言いかけた瞬間に雨足は急激に強くなり、傘を持たないレイコの頭上を打ち付けるように次の言葉を遮った。
鳴海は反射的に持っていた傘を相手側に傾けようとしたが、レイコは握った柄の部分に手のひらを重ねるようにしてそれを制すると、冷え切った頬をゆっくり近づけて触れ合わせた。

何かを言わなければと思いつつも言葉が見つからず、振り返ったレイコが黙って雨の中に消えていくのを鳴海はだた見送った。
偶然に前方から通りかかった車のキセノンのライトが青白い光を斜めから差し込ませてきて、雨の粒に幾重も反射してにじんだレイコの影を幾千もの色濃い糸にしてたなびかせ、鳴海に投げかけるようにして走り去った。


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| comments(0) | trackbacks(0) | 22:51 | category: SS |
# SS:眩しさのの残像
キザっちいタイトルはあんまり好きではないのですが、たまにはナルっぽいのもいいかなと思って書いてみました。
ひさしぶりのSSです。
後半ちょいアダルトなのでお気をつけて(相変わらずぬるいですけど)。



【眩しさの残像】

近すぎるせいで気がつけないこともあるんだと思う。
優しさとかありがたさとか、自分の中にあるやましさとか。

*****

休日のお昼前、遅起きの理子が自分の部屋からのろく出てきてみると、広いリビングルームの窓際で芽衣が缶ビール片手に外の景色を眺めていた。とてもよく晴れた、温かい日差しが惜しげもなく差し込む気持ちの良い日のことだった。

「おはよ。友里香は?」
「おはよ。さっき友達に会うっていって出かけた。飲む?」

さすがにこんな気持ちの良い午前の起きぬけからアルコールを飲む気にはなれず、理子はさらりと流して冷蔵庫から果物のジュースを取り出した。
冷たさと酸っぱさに顔をしかめつつ、床座りしている芽衣のすぐそばの窓際へと進む。

「ひどい格好。鏡見た?」
「人のこと言えるの?似たようなもんじゃない」
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| comments(0) | trackbacks(0) | 07:57 | category: SS |
# 百合系SS「最初のボタン」
週末の百合系SSです。
今回もOLものですが、同級生の立場逆転再会です。
強気攻め風味で。


-----------------「最初のボタン」

学生時代から自分に向けられる物欲しげな視線には気がついていた。
だけども十代の千種(ちぐさ)にとってはその視線の裏側にある感情はあまり意味を持っていなくて、単純に一つでも多くの注目が自分に集まっていることの方が大事だった。

*****

それは本当に全く予期せず、突然に起きたことだった。
ある朝千種がいつもの通りに朝出勤をすると、まるで冗談のようにオフィスの入り口には張り紙がしてあった。本日をもって経営権は全く別の会社が譲り受けることになったという内容だった。
読んで上司や同僚と同じくもちろんひどく動揺はしたが、千種がむしろそれよりももっと大きく動揺したのは、間もなくホールで始まった説明会で新しい経営者と名乗る女性の顔を見たときだった。

新社長として紹介され登場してきたのは驚くことに自分と同じくらいの年齢の女性で、しかもよく見るとその人はかつての千種の知り合いである、中学高校を通しての同級生だった。
ざわめく社員一同を前に壇上の中央へ進みながら、その女性-----井関茉莉子-----は見渡すように走らせた視線を千種のところで止めた。
見下ろされる形で目が合った瞬間、茉莉子の口元はほんの少しだけれども微笑んだようにも見えた。


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| comments(0) | trackbacks(0) | 13:29 | category: SS |
# 百合系SS:on the edge
久しぶりにssでも書いてみようかと思います。
OLもの。新人さん同士のちょっとだけアダルト向けです。(びっくりするほどぬるいです)。



--------SS: 【on the edge】

社内で一番長い廊下の向こう側から由真が歩いてくるのが見えて、咲夜香は思わず反対側に逃げ出してしまいそうになった。
研修会から約1ヶ月が経った、夕方の定時ほんの少し前のことだった。

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| comments(0) | trackbacks(0) | 23:45 | category: SS |
# SS:一つの嘘からはじまること
週末に書くようにしています、SSの三つ目です。
中学生×高校生で若干青春風味に。


【一つの嘘から始まること】



こんな簡単に騙されるなよ。
夕暮れの公園の中、自分の隣のブランコに腰掛けながら、うっすら涙を浮かべて自分を見る相手に優は思った。

「優ちゃん、気付けなくてごめんね。もう大丈夫だよ。これからは私がそばにいるからね」

優より3歳年上の麻美は高校生で、近所でも有名な私立校の制服が大人びた雰囲気に見せる。
途中までは軽く重ねた手をさするくらいだったが、話が終わると感極まったように立ち上がると強く優の体を抱きしめた。

最初は他愛もない嘘のつもりだった。
だけども麻美があまりにも真剣に話を聞いてくるものだから、ついつい調子にのってしまったのだ。

昔から早熟な子供だった優にとって、同年代の友達との関係は幼くて退屈なものだった。
誘われても輪に加わらず、一人ぽつんと本を読んだりしていたのはそうする方が好きだったからだ。
その日もいつもと同じように公園の片隅で一人ぼっちでいたところ、突然ある高校生に声をかけられた。
それが麻美との最初の出会いだった。

どうして一人でいるのかと尋ねらたとき、優には麻美が自分に対して同情したいのだろうなと思った。だから適当な事情をでっちあげた。例えば他に女がいて留守がちな父親だったり、精神的に不安定な母親などなど。実際には存在しないこともその気になって話しているうちに本当のことのようにも思えてくる。
本当のことなんて退屈でつまらない。次第に回数を重ねていくうち会っている時間だけはいつもの自分ではない別の人間になれたようで、優は楽しかった。

その日、麻美は学校で行事があるとかで、いつもより来るのが遅くなるは聞いていた。
だけども優はたまたまその日嫌なことがあって、半ば八つ当たりのように麻美を無理やり呼び出すようなメッセージを携帯に残した。


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| comments(0) | trackbacks(0) | 21:08 | category: SS |
# SS:答えのない答え
SSと呼ぶにはちょっと長いかもしれませんが。
短編読みきり小説です。
最近年齢高めの女性ばかりでしたので、20才前後を意識して書いてみました。
某若手女性バンドが最近のお気に入りなのです。

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彼女はとても
口が悪い
性格が悪い
態度も悪い

だけどとても
才能がある
それは間違いない

打ち上げが終わり、解散してから小一時間くらいしたころだろうか。
彼女-----亜里沙と一緒に消えたはずの男友達からいきなり着信があった。
やばいよ、知らねえからな、と電話口の向こうはひどく慌てていて要領を得ない。
奈央は通話が切れるよりも先に再び出かける準備をしていた。

ガールズバンド、というと和気藹々と楽しくやっているようなイメージがあるかもしれないが、内情は同性である分複雑な人間関係がある。
それがメンバー内に才能の差があるときはなおさらだ。

奈央は某地方出身者で、音楽でのプロを目指して上京をしてきて3年になる。
地元近隣の仲間では実力(や気持ち)に差がありすぎたので、本気で音楽に打ち込むための仲間を探したいと思い続けてきた。
運が良かったのだろう、その願いはすぐにかなった。今自分をリーダーとして組んでいるバンドは、徐々にながら順調に名前が売れ始めてきている。

だけどもそれをみな平等に努力をしてきた結果、とは言うのはきっと間違っているのだろう。
なぜならバンドの人気は、ある一人のメンバーが加入してきてからぐっと上がったものだからだ。
当初のメンバーを押しのけるように途中加入してきたメンバー、亜里沙である。

亜里沙は小柄ながら居るだけで不思議に存在感のある女の子だった。
ルックスも良く、声量、声質、パフォーマンスのどれも他の素人ボーカルとはかけ離れた実力をしている。
作曲や作詞のスピードも尋常ではないほど速く、レベルも高かった。
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| comments(0) | trackbacks(0) | 22:21 | category: SS |
# SSとか書いてみる。
ひさ〜しぶりですが、SS書いてみました。
甘めの百合話です。
砂っぽいので気をつけて読んでください。完結してますのでご安心を。

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【non title】


たまには一緒に映画見よっかと言い出したのは香奈の方だった。
賛成したさつきと二人でレンタルショップに行ったもののなかなか選ぶのに手間取り、結局持ち帰ってきたのは昔よく見たちょっと懐かしの有名作品だった。

明かりを暗めにした部屋で二人並んで開始のスイッチを押す。
始まったオープニングのシーンはラストにつながる伏線で、数度見返したそのストーリーはもう次の展開がわかりきってしまっていた。

付き合ってそろそろ3年になるのか、とさつきは思った。

友達としての付き合いがまず先にあり、それからちょっとした頓着を経つつ付き合い始めた二人だった。
最初のころは女同士、友達とはちがう気持ちの持ち方になれずにぶつかったり不安になったり、だけどもそれなりにそんな気持ちの揺れが楽しくて、どきどきを感じない日の方が少なかった。

同性だからということはあまり関係ないのかもしれない。
付き合いが長くなるってこういうことなのかもな、とさつきは思う。

まず相手の生活習慣がわかってくると、考えていることが大体読めるようになる。
好き嫌いとか感想とか、きっとこういうふうに答えるんだろうなと会話の先がわかってくる。
自分の思うとおりにならないしょうがなさが、言い訳を聞く前にわかってしまうようになる。
一緒にいるということが「安らぎ」というよりも「当たり前」になって、通じ合うための努力や手間をかける必要がだんだんとなくなっていくのだ。

ほんの最近、定期的に会うことになっていたいつもの時間に香奈側に急な都合が入り会えなくなったのだが、それを聞いた時一瞬だけほっとした自分に気がついてさつきは少し自己嫌悪を感じたばかりだった。

マンネリが、倦怠期に変わるのはいつくらいなんだろう。

この時期が淡々と過ぎ、ずるずると長くこんなふうに付き合っていくのは楽な反面それでいいのか、と思ったりもする。

映画は中盤から後半にさしかかり、前半にちりばめられた伏線を拾い集めにかかり出す。
次の台詞を頭の中で予測しながらも、さつきは隣に座っている香奈の横顔を何の気なしに眺めてみた。

「あれ?こんな服着てたっけ」

そのとき、それまで黙って映画を見ていた香奈が突然そんなことを言い出した。
誰のこと?とさつきが聞き返すと、香奈は画面にちらりと映った脇役の一人を指差した。
画面に出たり出なかったりするその人を見ようとするためにしばらく二人で盛り上がり、ようやく確認できたその衣装を見て、改めて二人で笑った。

「へぇ〜、全然気がつかなかった。細かいとこまで仕込んであったんだ」
「何度も見たはずなのにね。気づかないこともあるもんだね」

どき、と軽く気持ちが揺れた気がしてさつきは香奈の顔を見た。
見慣れた表情で微笑み返す香奈と目を合わせてから、また映画の展開へと戻る。

少しして、さつきは自分の手が温かく包まれたのを感じた。
ぎゅ、と強すぎないくらいに握られていて、すっかり慣れたはずの感触なのに黙ったままそうされていると少しずつ恥ずかしくなってきた。

それから十数分が経ち、映画のストーリー部分は終わった。
いまさらなのでスタッフロールは見ないで消そうとさつきが立ち上がりかけたとき、それまでよりもまた少し強い力を香奈はこめた。腰を戻したさつきはそのまま、完全に見終わるまでの間相手のなすままに座っていた。

「どうしたの?いきなり」

画面がメニューに戻ったのを見計らってさつきは香奈に聞いてみた。
香奈は照れくさそうに笑いながら「なんか、そういえばって思って」と言った。

「付き合いはじめのころさ、二人で映画に行ったときのこと覚えてる?」
「うん」
「ほら、やっぱり女同士だし恥ずかしかったんだよね。本当はその劇場内で手をつないで観たかったんだけど、ずっと我慢してたの」
映画が終わったあとで香奈からその話を聞かされて、「どうせ暗くて周りから見えないんだから握ってくれればよかったのに」とさつきは笑って言い返したのだった。

「今度からそうするって言ったはずなのに、そういえばしてなかったなって思ったの」
「そういえば…まあね」

特に理由があったわけではないがその後しばらくはなんとなく映画をデート場所に選ばなくなり、だいぶ経ったあとにはもうお互いそんな会話をしたことを忘れてしまっていた。
香奈は少し真剣な顔になってさつきの方を見る。

「でね、それからまた考えて。さつきとまだまだしてないことってたくさんあるなって。私たち、付き合いが長くなってきたからもうあらかたのことはしたはずなのにって思うのに、ちゃんと考え直してみると全然まだまだしてないことが多いなって」

さつきははっとした。
香奈はさつきの手をとると、指先に軽くキスをする。

「好きだよ。さつき」
「ちょっと。恥ずかしいよ。改まっちゃって」
「しばらくちゃんと言ってなかったからさ。言わせて」

じっと真正面から見据えられての好意の告白は、確かにしばらく誰からもされていない。

「好きだよ」
「うん」
「好き」
「うん」
「本当に好き」
「……私も」

顔を見合わせて二人吹き出した。
懐かしいようでもあり、新鮮なようでもある不思議な感じだった。
きっとそうなんだろう。
慣れたはずのものを改めて感じようとするときの感じというのは。

「ね、この映画もう一度見直してみない?」
「いいね。いいけど」

振り向きかけたさつきの唇に、香奈はやわらかくキスをした。

「明日でもいい?」

うなずいたさつきは今度は目を閉じると、さらにゆっくり近づく香奈のキスを受け止めた。


【Fin】
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